本サイトでは、公衆衛生の行政改革について考えています

 

本サイトは、2012年夏の大阪府・市にある地方衛生研究所を統合し独立行政法人とする動きに、強い危機感をもって設立したものです。

 

地方衛生研究所を独立行政法人とすることに対しては、各方面から反対があったにもかかわらず、20154月に実施されました。法人化を阻止するという、本サイトの当初の目的は達成できずに終わりました。しかし、当初あった公衆衛生の役割を放棄し、産業を支援する機関にするという構想は、現在のところ構想のままで終わっているようです。この点については、今後とも注目していきたいと考えています。

本サイトを訪れていただきありがとうございました。

  

反対運動に取り組んできためざす会の最後のニュースはこちら

  

●本サイトはこれで閉鎖し、社会基盤としてある科学技術について考えるサイトを新たに立ち上げる予定です。

 

2017.7.31

  ◆消防研究所で、独立行政法人化の検討段階から、2006年に消防庁に統合・吸収されるまで、一貫してその検討作業に従事した松原美之氏の資料をこちらで紹介しています 

2017.3.26 

 

2016年の夏、麻疹の流行がありましたが、麻疹に関わる地方衛生研究所の役割を こちらにまとめました 

 916日に大阪市会に提出された議案は、104日に維新と公明の賛成で可決されました。一覧はこちら

◆公衛研の府立存続と発展をめざす会のビラはこちら

 

2016916日、大阪市会では新しい研究所の中期目標など、独法化に関わる議案が提出されました。

 議案第204号 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所に係る中期目標の制定について              

 議案第205号 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所に承継させる財産について             

 議案第206号 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所の重要な財産を定める協議について

 一覧はこちら

 この3議案のなかで重要なのは「中期目標」です。この「中期目標」がどのように変遷してきたのか、調べました。

こちら

2016.10.1 

◆統合・独法化後の新研究所の役割について、統合本部会議で何が構想されていたのか調べました。  こちら     2016.5.11

 

◆統合本部登場以前に公衛研・環科研のあり方がどのように検討されていたのかを調べました。

こちら         2016.4.28

 

◆統合した新研究所について、松井大阪府知事は新施設建設方針を固めたとの報道がありました(2016/4/21)。新しい研究所が「地方独立行政法人」となることは隠し、いかにも公衆衛生を重視しているかのような発言をしています。

 

「命を守るコストですから。単なるハコモノに対しての予算ということにはならないでしょう。」(松井一郎大阪府知事)

 MBSニュース「大阪府松井知事、研究所統合で新施設建設方針固める」

 

改めて、大阪府市統合本部で地方独立行政法人化が決定された経緯を調べました。こちら

 

 ◆大阪市の動き:

府市両衛生研究所を統合し、地方独立行政法人化するための一部の議案、

(市立環境科学研究所を廃止し、環境部門は直営で残すが、

衛生部門は府立公衆衛生研究所と統合した地方独立行政法人に移行させる)

が、2016329日、大阪市会において可決されました。これまでの概略をまとめています。こちら

 

現在大阪市会では、大阪市立環境科学研究所の独法化に向けて、大きな山場を迎えています。2016322日、民生保健委員会で3議案の審議がありました。28日にも採否が決まるようです。そのなかで、非常に気になった市長の発言がありました。 それについてはこちら

 

大阪市会では、市立環境科学研究所を大阪府立公衆衛生研究所と統合し、市直営を止めて地方独立法人化する案を可決するため、328日、環科研の環境部門だけを市立で残すための条例案を追加提案しました。このような条例の追加があっても、公衆衛生が直営から外されることに変わりはありません。

これに対し、地方衛生研究所を独法化してはならないというチラシはこち

 

大阪市会の動き:

 

3/1

 

議案第100号「大阪市立環境科学研究所条例を廃止する条例案」

 

議案第101号「地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引き継ぎに関する条例案」

 

この採決は行われず

追加議案第166号「大阪市立環境科学研究センター条例案」が民生保健委員会に付託される

 

3/22、民生保健委員会(予備日3/25

 

3/28委員会態度決定

3/29本会議で議決の予定

 

◆2月8日、大阪市会議長あて、めざす会が陳情書を提出しました

陳情書はこちら

 

2月の大阪市議会に、環境科学研究所と府公衆衛生研究所を統合して、地方独立法人とする議案が提出されようとしています。これに反対する意見を特設コーナーに集めました。こちら

みなさまのご意見をお待ちしています。こちらからどうぞ。

 

◆めざす会では、ニュースを発行しました。こちら

◆独立行政法人・地方独立行政法人について、資料を追加しました。こちら

◆ 地方衛生研究所を地方独立行政法人とするのは間違っています。

 それについてはこちら

◆独立行政法人については、国立消防研究所が一旦は独法人になったあと、2006年にまた国に戻された例があります。

その経緯をみると、行政の中の科学技術がどんな扱いを受けるのか、よく分かります。こちらをご覧ください。

◆復帰宣言

 

昨年注目を集めた大阪都構想は、2015年5月17日の住民投票で否決されました。一方、大阪都構想の一環としてあった地方衛生研究所の統合・地方独立行政法人化については、統合するための環境科学研究所廃止案が、大阪市議会で2015年2月、5月、10月と3度にわたって否決されました。これによって大阪の地方衛生研究所の統合・独立行政法人化は、白紙に戻ったと安心し、このサイトも役目を終えたと思って一旦閉鎖しようと考えていました。

 

ところが、2015年11月22日に実施された大阪知事・大阪市長選挙で、大阪維新の会の首長が誕生して、白紙に戻ったと思ったはずのものが再び復活してきました。今、大阪から地方衛生研究所の独立行政法人化が始まろうとしています。

 

松井知事・吉村市長は、地方衛生研究所の独立行政法人化を「統合することによる機能強化」として、まるで独法化することで機能が強化できるかのようにすり替えて、強行する構えを見せています。独法化によって、地方衛生研究所が運営困難となり、機能低下することは、これまで東京都や横浜市が検討してきた結果からも明らかです。 無責任なTOPダウンによる、大阪から地方衛生研究所の独立行政法人化が始まろうとしている今、再び公衆衛生がないがしろにされる危機に直面したことを認識し、HPの内容を充実させていきます。

 

●2016年1月8日、めざす会は、吉村市長あてに「大阪市立環境科学研究所(環科研)と大阪府立公衆衛生研究所(公衛研)の統合・独法化撤回と公立運営による発展を求める要望書」を提出しました。 要望書はこちら

 

●めざす会のメンバーが、ツイッターとブログを始めました。 こちらもご覧ください。

ブログ

ツイッター

 

 

○ごあいさつ

 

本サイトでは、公衆衛生行政の一員である地方衛生研究所について、一般の人々に理解を深めていただくことを目指します。

 

公衆衛生の範囲は非常に広く、一目で見渡すことはできません。本サイトで注目するのは、人々の健康が侵される事態になったときに対応するシステムです。つまり、不特定多数の人々が、外来性の要因で、健康を侵される事態に対し、問題の把握・判断・対処という一連の対応をとるシステムのことです。私たちの社会は、このようなシステムを備えて、社会に起きる不具合に対応してきました。

 

このような人々の健康が侵される事態に対応することを、公衆衛生業界では「健康危機管理」と呼んでいます。

☛ 厚生労働省の健康危機管理対応

☛ 「健康危機管理」小史

 

科学技術は健康危機管理の際に重要な役割を担っており、行政官庁と科学技術面を担当する研究所が相互に連携して事態にあたります。地方レベルでは保健所、地方衛生研究所および行政官庁が、また国のレベルでは国立保健医療科学院、国立医薬品食品衛生研究所、国立感染症研究所および国立健康・栄養研究所などの研究機関や厚生労働省、さらに検疫所が関わっています。これら異なる組織が役割を分担しつつ、また場合によっては公衆衛生関係のほかに、畜産系、農業系あるいは大学などの研究機関や農林水産省・文部科学省、場合によっては警察とも連携することがあります。このシステムは単独の機関の活動に閉じたものではなく、相互に連携しながら問題解決に当たるものです。さらにはWHOなどの国際機関や外国の同様の役割をもった機関とも情報交換が行なわれたりします。

このように地方衛生研究所は、大きなシステムのなかで、問題が発生する現場にあって、科学的データの生産を担っているものです。

 

なお本サイト開設については、依頼・要請・強制・強要はどこからも受けていません。あくまで個人の発意でおこなうものです。また本サイトは、地方衛生研究所の仕事について理解を深めていただくことが目的であり、個々の事例についての問い合わせには応じられません。

 

○地方衛生研究所とはなにか

健康危機管理において公衆衛生行政が機能するとき、科学技術は問題の対処においてはもちろんのこと、把握においても重要です。このシステムが稼働するには、まず現場で何が起きているのか、事態を把握する必要がありますが、その把握には、統計や疫学調査、科学的分析など各種方法で入手したデータを検討することが、対応を決定づけます。このうち科学的データを地方の現場で生産しているのが地方衛生研究所(総称)です。地方衛生研究所の仕事は、健康危機管理への対応がすべてではありませんが、業務のなかで大きな柱の一つであることは間違いありません。地方衛生研究所は都道府県や政令指定都市の一部など、全国の地方自治体に置かれ、保健所や行政と密接に連携を保って対応にあたります。科学的データとは、例えば新型インフルエンザが流行したとき、そのウイルスがいるかどうか、あるいは冷凍餃子農薬混入事件のときは、餃子に含まれている農薬を調べる、ということなどです。このようなデータが必要とされる機会は数多くあり、データ生産の中核を担っているのが地方衛生研究所です。

☛ 地方衛生研究所設置要綱

☛ 地方衛生研究所全国協議会

☛ 地方衛生研究所の科学技術とは 

☛ 地方衛生研究所に法的位置づけを

 

○なぜ本サイトを開設したのか

健康を侵される事象が次々発生し、直接問題に対応する行政ばかりでなく、社会からも科学的データが求められる局面は数多くあります。ところがその生産を担う部門は、公衆衛生行政の楽屋裏の仕事であり、表舞台に出ることはありません。このように社会からは見えにくくなっていることで、そこで今何が起きているのか、社会的にはよく分からない状況にあります。

1990年代からの行政改革は、公衆衛生分野でも実施されており、地方衛生研究所も例外ではなく、人員や予算面の縮小が続いています。

☛ 行革

 

更に悪いことに、2012年夏、大阪では新しい大都市構想の下、府・市にある衛生研究所を統合し、地方行政独立法人化することが提案されました。

☛ 大阪の法人化の動き

 

この法人化案は、人々の健康保護のために働くという衛生研究所の本来の使命を蔑ろにした内容になっています。この大阪の動きは、今後日本の公衆衛生行政に悪影響を与える可能性があり、強い危機感を持たざるを得ません。この法人化の提案をみますと、地方衛生研究所の業務が全く理解されていないことがわかります。このような提案は、衛生研究所の使命や業務に対する無理解ゆえにでてきたものだと思われます。そこで、地方衛生研究所の役割を広く知っていただくことが重要であると考え、本サイトを開設、宣伝に努めることにした次第です。公衆衛生において重要な役割を担っている地方衛生研究所の仕事に対する理解者が増えるよう、僭越ながら勝手に宣伝に努めることにしました。      

 

 

 


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